
今回のアキタジンは・・・19世紀ギター作者の斉藤 健さんに密着です!!
19世紀ギター作者は日本全国でも数が少なく、東北では唯一の職人さんです。全てが手作業で作られていく19世紀ギター。緻密な計算と、忍耐力・集中力がかなり必要になる作業で1つ1つ息を吹き込んでいき完成する工房にお邪魔して来ました!!お楽しみに~!!
19世紀ギター作家
斉藤 健 Saito Takeshi
工房:KEN弦楽器工房
生年月日:1965年9月2日
血 液 型:調べたことがなく分からないが、たぶんA型
作 家 歴:3年目
出 身 地:秋田県
まずは、19世紀ギターとは・・・
![]() |
このギターは、斉藤さん私物です。1830年前後フランスで作られたギターで、日本で言うと江戸末期に作られた作品です。 |
19世紀ギターと呼んでいるのはどうも日本だけのようで、世界的にはロマンティック(ロマン派)ギターと呼ばれ ています。ロマン派(前期)は、シューベルト(1797年~1828年)やショパン(1810年~1849年)らが活躍した時代で、その頃、ギターは黄金 時代を迎えました。ギターの作曲家では、ソル(1778年~1839年)やアグアド(1784年~1849年)らが活躍した時代です。ですから19世紀ギ ターは、19世紀全般ではなく1820年代を中心に1850年代あたりまでのギターを指します。ロンドンのパノルモ、パリのラコート、そしてウィーンの シュタファーが知られていますが、その他にも優れた銘器が多く存在します。この時代はまさにギターの宝庫といってよいでしょう。
要するに、19世紀ギターは貴重価値が高いもので、ギターの黄金時代に誕生したギターということでしょうか?
「19世紀に作られていたギターが19世紀ギターなんですが、作られた国とそれぞれの制作者によって特徴があり、決まった形式がなくそれぞれの国や制作者によって違いが出てくるのですが、共通していることは今のギターより弦が短く、重量が軽くて、音が軽いのが特徴ですね。19世紀ギターは、マニアックなギターで一般の人には馴染みはないかもしれませんが、好きな人は好きなギターですよ」と斉藤さん。
おっと、今回はコメントから登場です!!
では早速工房へ行ってみましょう!!
ここがKEN弦楽器工房です。

秋田市外旭川の自宅1室に構えてある工房。
4069
![]() |
全て木で作っていく為、木材が沢山。 「19世紀ギターを作るために使用する板は、動くだけ動かせておいて(変形するだけ変形させる)、ある程度動いたら使えます。10年以上乾燥させて、工房に入ってから3年乾燥させて使用できるようになります。そうしないと板が縮んでしまうので。」と斉藤さん。 |
|
おっと、作業中の作品発見!! しかし、斉藤さんはどこだ~!!! |
![]() |

発見!!今日1日よろしくお願いします!!
すでに作業に入っています。
今日は、どの様な作業になりますか?
「今新作を制作中で、今日は表板と横板の接着です。」斉藤さん。
19世紀ギターは1つの作品が出来るまで1か月半掛かるみたいです。ですので、どの様にしてギターが出来上がっていくか、斉藤さんのブログでご紹介していますのでご覧下さい。
斉藤さんブログ:http://blog.goo.ne.jp/ken-g-sep
さ~緻密な作業の幕開けですよ~・・・。
19世紀ギター製作作業開始

工房にはギター製作専門の工具が沢山あります。

板に傷が付かないように、止める部分はコルクになっていて、全て輸入品だそうです。メーカー名は「スチュワート・マクドナルド」。ギター作家の間では、関東地方は「マック」関西地方は「マクド」と呼ばれていて、一般的にこの呼び方はハンバーガーのお店を思いますが、ギター作家さんは工具メーカーの「スチュワート・マクドナルド」が最初に思うみたいです(笑)。
では、では、
興味深い作業を聞いたので・・・
(かな~~~~~~~~~~~~~り、緻密な作業ですけど・・・。)

こちら「ロゼッタ」と呼ばれている、中央部の穴の部分ですが、これペンで書いているわけではありませんよ。
実は・・・
実は・・・
実は・・・
これ、全部板で出来ているんです!!
では、工程を斉藤さんに代わり説明します。
![]() |
このような板に、切断する為の印を付けカットします。 |
| カットした板が写真左側にあります。それを重ね合わせ、的確なサイズに切ったものが右側の物です。この右側ので板を10枚重ね合わせています。 |
![]() |
![]() |
それを2つ作り合わせたのがこちら。 これを何個も作り、ロゼッタのサイズに合わせていきます。そして表面の板に傷が付かないようにこれを削っていくと、モザイク部分の完成です!!出っ張りを削り、表面の板に合わせていくということです。 |
そして、周りの黒い線ですが・・・
まずは、このような黒い板を、
このように細くします。そして、
曲げるための機械で円形にしていきます。
そして、はめ込んだのがこちら、

少し太いのが赤い矢印の部分です。
では、黄色い矢印の細い部分はというと・・・

黒と白の細い板を1つ1つ重ねて、モザイクと同じように表面を傷つけないように削っていくと完成です!!
この部分で、4日かかる作業です(驚)。
説明不足かもしれませんが、とにかく細かく緻密な作業ということを伝えたかったです!!
おっと、今回の主役の登場が少ない気が・・・
作業風景をバッチリ!!

表面の板を横板に接着するために余分なところをカット
でもこのカットしている部分が・・・
| 左右でカットの仕方の違い分かりますか?これは補強材としても活躍しますが、この木の削り具合で、音の調整をしていきます(チューニング的な感じ)。 |
![]() |

少し削っては、叩いて振動を確認しながら調整していきます。
「低音側(大きい音)は多めに削り、高音側(低い音)は少なめに削って、音のキャラクターを調整していきます。この作業を適当にやってしまうと音にも影響が出てくるので非常に重要な作業です」斉藤さん。

全てに切れ目を入れたら、
特注の小刀で削っていきます。
そうするとこのようになります。
全部で、10カ所同じような事をします。
「19世紀ギターは、20年30年後修理が必要になります。その修理作業を自分以外の人が行う場合、自分の作業を見られてしまうので絶対に手を抜けない。例えば、歴史的建造物を作った大工さんはたまに修理に入ると思うが、自分以外の人が修理を行うときのために、見られても恥ずかしくない仕事をしているのではないかと思います。それと同じ事ですね」と斉藤さん。

接着していた部分の接着剤を残さないようにヤスリで削っては、小刀で調整。この繰り返し作業。本当に緻密で正確性が問われる仕事です。
「接着剤を完璧に取らないと隙間が出来て音が変化します。何ミクロで慎重に削っていきます」斉藤さん

そして、横板をセット。

(左)横板印の部分に、(右)表板の先ほど削った部分を、うまく「カッポ」っと合体させます。
これがポイント!!

見えますか?この部分の作業を行っているのですが、ギターの見る目がプロの方はこの部分で作業の的確・正確性を見るそうです。
「ここが少しでもずれるとギターの評価が下がってしまうので重要な工程です」斉藤さん。

何度も何度も調整を重ねて、

更に調整を重ねて、
(本当に気が遠くなるような作業ですが、何度も何度も調整していき本物の作品が出来上がってくのが19世紀ギターですね)

表板と横板の接着完成!!
接着するのに6時間以上の作業です(驚)。その間集中を切らさず、緻密な計算と正確性で接着しました。本当に気の遠くなるような作業ですが、正直凄いと思いました!!
ちょっと落ち着いたところでインタビューしちゃいます!!
斉藤さんインタビュー!!
<活動を始めたきっかけ>
たまたま見ていたホームページで、19世紀ギターを見かけたのがそもそものきっかけです。そのホームページで、「19世紀ギターの作り方」という制作過程が載っていて、それを「見て作れるのかな?」と思ったのがギターを作ろうと思ったきっかけですね。
<19世紀ギターの魅力は>
いろいろ人それぞれ魅力は違うと思うのですが、私の場合は形やデザインが魅力ですかね。ボディーラインが美しいということと、計算されている優しい音がすることですね。よくこのデザインを思いついたなと思うくらい洗練されたギターですね。
<制作するにあたり心がけていること>
鳴らしたときに気持ちのいい音がするギターに仕上げることですね。
世の中にはいろいろなギターがあると思うのですが、今のモダンギターは有名な作家さんが作っていて凄くいい音がするのですが、音だけではなくて弾くときに何か心地よい気持ちになるような作品を作ることですね。
<制作していて楽しいこと>
完成して、自分が狙っていた音が出たときはうれしいですね。
弦を張ってみるまでは、だいたいこんな感じの音になるだろうと予想して作って行くのですが、実際に弦を張って弾いてみないと音の確認ができない。完成して初めて鳴らすときに狙っていた音が出ると嬉しいですね。
<逆につらいこと>
1工程1工程疎かに出来ないことですね。どっかで手を抜くと取り返しが付かなくなるので、常に緊張して作業をしないといけないということですね。
木工をやっている人は感じていると思うのですが、木は修正が不可能なので、削りすぎてしまうと大変なことになるのでうまく木と会話をしながら作って行くので、もの凄く神経を使う作業ですね。作業が進むにつれ緊張度が増していく感じですね。
-途中で間違った場合修復は可能ですか?-
何とかなる場合とそうではない場合があります。何ともならない場合はもうギターを諦めるしかなくなりますね。大抵何とかなるんですけどね。
今まで制作していてそういう事は無いですけどね。

<1本を作るまでの期間は>
ギターは1ヶ月半で1本。ウクレレは1ヶ月で2本くらい作ります。
個展を開催する場合は、2週間で3本とか作らないといけなくなるときがありますけどね。日程が詰まった場合ですけどね。かなりハードになるのでこういうスケジュールはなるべくしたくないです。
<購入する場合は?価格はいくら?>
メールで問い合わせして頂ければ、1日2回くらい確認していますので、確認しだいご連絡させて頂きます。携帯もあるのですが、音が出る作業をしていると気付かないし、私は携帯を携帯しない人間なのでメールでお願いします(笑)。
メール問い合わせ:ken-g-sep@mail.goo.ne.jp
-価格は?-
ギターですと1本30万円~で、ウクレレだと1本6万円~です。使う板によって価格は変動しますが、基本はこれくらいです。
全てフルオーダー(持っている資料の中から)で作らさせて頂きます。弦の長さやデザインは好きなように出来ます。

<ギターへのこだわり>
しっかりとした作りにしないといけないということと、1番重要なのは音ですね。いくらきちっと作っても、音が良くないと楽器として成立しないので、しっかりとした音を出すことです。
<最近のマイブーム>
ちょっと前までミニカーを集めていました。
アメ車の古い車で50年代~60年代の燃費が悪そうな車から集め出して、昭和の日本車や古い車を100台くらい集めました。
コレクターではないので、自分が欲しい物を買う感じですね。
<好きな食べ物は>
若い頃は肉が好きだったんですが、今は寿司が好きです。
常に食べたいと思いますね。
-好きなネタは?-
さっぱり系が好きです。エビは最後に食べますね。好きな物は最後に食べる感じです。
<食わず嫌い>
魚が嫌いです。
-えっ!?-
寿司とかお刺身は好きなんですけど、焼き魚とかがダメですね。骨のある魚が嫌いです。
骨がなければOKです。
<どんな子供でしたか>
今やっていることの素は子供の頃にあると思っているのですが、小さいときに住んでいた家は結構大きくて、庭も広かったんです。その庭に小屋があって、その中に廃材が結構あって、何かを見ると無性に木で作りたくなったんですね。例えばテレビを見ていて飛行機が出てくると作りたくなるとか。見ると作りたくなる子供でしたね。それが遊びでもありましたし。
小学校の低学年から木の事が詳しくなってきて、なってきたというか自然となっていた感じですね。それにプラスして祖父がやたらと詳しく教えてくれたので、そのことが今に生きていますね。

<自分の持っている信念>
1人前になるには何年もかかると言われると思うんですが、私は年数は関係ないと思っていて、その人の持っている情熱やモチベーションで年数は大きく変わると思っていて、必ずしも年数に左右されないと考えています。
このギター制作の世界も、しっかり作れて売れるまで最低10年掛かると言われているんですが、それを早く達成したいと思っています。急げばいいと言うことでは無いですが、必ずしも言われている時間だけ掛かるということではないと思っています。
<これからの秋田はどうなってほしいか>
よく「秋田を元気に」とか「秋田に活力を」とかそういうスローガンの看板をよく聞きますし目にするんですが、逆に言うと「今の秋田に元気も活力も無い」とアピールしているかのように思えるんですね。
必ずしも元気がないとか活力がないとは思っていないんですが、秋田の人はなにか要領があまり良くないと思える時があります。情熱が足りないというか。みんなが情熱を持てば自然と地域の活力になると思いますし、元気も出てくるのではないかと思います。
県外に出るとよく分かるんですが、首都圏の人は不可能だと思っても何とかするんですが、秋田の人は諦めが早いと思います。諦めるのではなくて、何とかしようとする努力をもっとしていけば秋田は明るくなると思います。
<今後の目標>
自分の理想のギターを作り上げることです。
デザインや音、全てにおいて理想のギターですね。なかなか思い通りいかない世界で、1つ作ると「もっといいものを、もっといいものを」と作っては改善し、少しずつでもいいので理想に近づくことですね。

<好きな言葉>
「平和」
世の中が平和になって欲しいし、世界中が平和になればもっといい木で活動が出来るようになりますし。内戦とかあると木がなかなか手に入らなくなってしまうということもあるんです。
もちろん各地に住んでいる人とギター制作家の為に平和になって欲しいと願います。
さて、最後に斉藤さんの作品をご覧下さい!!
斉藤健さん作品集

工房にあった1本

中には「Takeshi Saito」と名前が入ったラベルが貼られています。

(左)19世紀ギターで、(右)ウクレレバージョン

(左)斉藤さんの作品(右)1830年前後フランスで作られたギター
すこし斉藤さんのアレンジが加わっていますね。
おっと、最後に工房にあったギターで1曲お願いします。
フェルナンド・ソロ「月光」
演奏:斉藤 健
ギター作者:斉藤 健
みたいな感じで・・・!!

ギターとの2ショット!!
取材終了。
斉藤さんありがとうございました!!
これからも、本物の作品を作り上げて下さい!!いつか隣に斉藤さんのギターがあることを目標に・・・。
<編集後記>
斉 藤さんを取材して1番強く思ったことは、非常に熱い人だということです。とても神経を使う作業の中ではあったのですが、いろいろと話を聞いていくと心がと ても熱い方で、職人さんという感じがしました。ま、職人さんですけど・・・(笑)。初めて19世紀ギターという作品に触れてみて素直にかっこいいと感じ、 音も優しい感じでした。斉藤さんが作ったギターを側に置けるように頑張ります!!
さ~て、次回はPRAÇO1周年となりますので・・・お楽しみに!!























